アクティブラーニングとは?定義・6つの特徴・5つの手法・インターナショナルスクールでの実践をわかりやすく解説

「アクティブラーニング」という言葉を、教育現場や保護者向けの情報で目にする機会が増えています。しかし、「具体的にどのような学びなのか」「従来の授業と何が違うのか」「子どもにどのような力が身につくのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アクティブラーニングの定義、日本で導入されてきた背景、文部科学省が示す6つの特徴、代表的な5つの手法、子どもが身につける力について整理します。さらに、インターナショナルスクールやIB教育における実践との関係についても解説します。
アクティブラーニングとは何か
アクティブラーニングとは、生徒が受け身で知識を学ぶのではなく、自ら考え、他者と対話し、学んだことを活用しながら理解を深めていく学習のあり方です。ここでは、文部科学省による定義や「主体的・対話的で深い学び」との関係、探究学習・PBLとの違いを整理しながら、その基本的な考え方を解説します。
文部科学省による「アクティブラーニング」の公式定義
アクティブラーニングとは、教師の説明を一方的に聞くだけではなく、生徒が自ら考え、他者と話し合い、調べ、発表するなど、学習のプロセスに主体的に関わる学びを指します。文部科学省では、こうした生徒の能動的な学習への参加を取り入れた学習・指導法を「アクティブ・ラーニング」として示してきました。
具体的には、グループ・ディスカッション、ディベート、グループワーク、プレゼンテーション、課題解決型学習(PBL)など、さまざまな方法があります。こうした活動を通して、生徒は知識や技能を身につけるだけでなく、自ら考え、他者と議論し、情報を調べ、考えを表現する力を養います。
重要なのは、活動そのものではなく、学習者が思考し、判断し、学んだ知識を活用することです。既にある「正解」を覚えるだけではなく、答えが一つに定まらない課題について考え、解決へのアプローチを探ることも、アクティブラーニングの重要な要素です。
「アクティブラーニング」と「主体的・対話的で深い学び」との関係
2017年に告示された学習指導要領では、「アクティブ・ラーニング」という言葉そのものよりも、「主体的・対話的で深い学び」という考え方が重視されるようになりました。両者はまったく同じ概念ではありませんが、学習者が主体的に参加し、他者との対話を通じて考えを深めるという点で密接に関係しています。
「主体的な学び」は、学ぶことに関心を持ち、自らの学習を見通しながら粘り強く取り組むこと。「対話的な学び」は、他者との対話や協働を通して考えを広げ、深めること。そして「深い学び」は、各教科で身につけた知識や考え方を関連づけながら理解を深め、課題の発見や解決につなげることです。
これらを一体的に実現することが、現在の日本の教育において重視されている学びの方向性です。
なぜ今、アクティブラーニングが求められているのか

AIの進展やグローバル化によって社会が大きく変化するなか、知識を身につけることに加えて、自ら課題を見つけ、考え、他者と協働しながら解決していく力が重視されています。ここでは、アクティブラーニングが注目される背景と、日本の教育における導入の流れを見ていきます。
帰国後も海外で身につけた英語力や学習習慣を継続したい場合、インターナショナルスクールは選択肢のひとつとなります。ここでは、言語環境だけでなく、帰国後の適応や将来の進路という観点から、その特徴を見ていきます。
AI・グローバル化がもたらす「答えのない時代」への対応
海外で英語を使って学んできた子どもが日本の学校へ編入すると、日常生活や学校で英語を使う時間が大きく減ることがあります。特に、英語で読んだり、書いたり、考えたりする経験が少なくなると、それまで身につけてきた学習言語としての英語を維持することが難しくなる場合があります。
英語を主な学習言語とするインターナショナルスクールでは、授業や学校生活を通して継続的に英語を使うため、海外で培った英語力を帰国後も維持し、さらに伸ばしていく環境を確保しやすくなります。
2020年度の学習指導要領改訂と「総合的な探究の時間」の必修化
文部科学省は、知識や技能の習得に加えて、思考力・判断力・表現力や、学びに向かう力を育てる教育を重視しています。新しい学習指導要領は、小学校で2020年度、中学校で2021年度、高等学校で2022年度から順次実施されました。
高等学校では、それまでの「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」となり、生徒が自ら課題を設定し、情報を収集・整理・分析し、考えをまとめて表現する探究的な学習が重視されています。 大学入試でも、総合型選抜などを通じて、学力試験だけでは捉えにくい学習経験や活動、志望理由、思考力、表現力などを多面的に評価する選抜が行われています。
文部科学省が示すアクティブラーニングの6つの特徴

文部科学省は、アクティブラーニングの特徴として、以下の6点を提示しています。(参考:「教育課程企画特別部会 論点整理 補足資料(5)」文部科学省(平成27年8月26日))
① 授業を聞くだけでなく、自分から学習に参加すること
② 知識を覚えるだけでなく、さまざまなスキルを身につけること
③ 情報を分析したり、比べたり、考えたりすること
④ 読む・話し合う・書くなどの活動に取り組むこと
⑤ 自分の考え方や大切にしていることについて考えること
⑥ 学んだ知識を使って、話したり、書いたり、発表したりすること
これらに共通しているのは、生徒が学習のプロセスに能動的に関わることです。したがって、グループワークやディスカッションを取り入れただけで、必ずしもアクティブラーニングになるわけではありません。
活動を通して生徒自身が考え、知識を活用し、他者との対話によって理解を深めているかどうかが重要です。形式ではなく、学びの質と生徒の能動性に本質があります。
アクティブラーニングの代表的な5つの手法

アクティブラーニングには、授業の目的や子どもの年齢に応じてさまざまな手法があります。ここでは、ラウンド・ロビン、シンク・ペア・シェア、グループ・ディスカッション、ジグソー法、PBLという代表的な5つの方法を紹介します。
ラウンド・ロビン
参加者が順番に、自分の考えやアイデアを共有していくシンプルな方法です。グループの全員に発言の機会が生まれるため、多様な意見や考えを引き出しやすくなります。短時間で実施でき、アクティブラーニングを授業に取り入れる際にも活用しやすい方法です。
シンク・ペア・シェア
「個人で考える(Think)→ペアで共有する(Pair)→全体で共有する(Share)」という3つの段階で進める手法です。
最初に一人で考える時間を確保してからペアで意見を交換するため、個人の思考と他者との対話を組み合わせることができます。大人数の前ですぐに発言することが難しい生徒も、段階を踏んで参加しやすい点が特徴です。
グループ・ディスカッション
グループのメンバーが、設定されたテーマや課題について意見を出し合い、考えを深める活動です。他者の意見を聞き、自分の考えと比較し、根拠を示しながら説明するプロセスを通して、理解を深めるとともに批判的思考力を養います。
多様な文化的・言語的背景を持つ生徒が学ぶ環境では、一つのテーマについて異なる視点に触れる機会も生まれます。
ジグソー法
学習内容をいくつかに分け、それぞれを担当する「エキスパートグループ」で理解を深めた後、元の「ホームグループ」に戻って互いに学んだ内容を共有する協働学習の手法です。
一人ひとりが他のメンバーに伝える役割を担うため、学習への参加を促すとともに、互いの知識を持ち寄って全体の理解を構築していく経験につながります。
プロジェクト型学習・PBL
生徒が特定のテーマや課題について、一定期間にわたって継続的に取り組む学習方法です。調査、計画、協働、制作、実行、発表、振り返りなど複数のプロセスを含み、自律性、創造性、問題解決力などを総合的に育てることを目指します。
IB教育においても、探究やプロジェクトを通した学習は重要な位置を占めています。PYP(Primary Years Programme:初等教育プログラム)の「探究の単元(Unit of Inquiry:UOI)」などでは、問いを起点として、生徒が調べ、考え、対話しながら理解を深めていきます。
アクティブラーニングで子どもが身につける力

アクティブラーニングは、単に授業への参加を促すだけではなく、学んだ知識を使って考え、他者と協働し、自分の考えを表現する経験につながります。ここでは、思考力・判断力・表現力をはじめ、協働力やコミュニケーション力、学習意欲など、こうした学びを通して育まれる力を具体的に解説します。
思考力・判断力・表現力
アクティブラーニングでは、情報をそのまま受け取るだけではなく、比較、分析、関連づけ、評価などを行いながら、自分なりの考えを形成することが求められます。
答えが一つに定まらない問いに向き合い、根拠をもとに判断する経験を重ねることで、批判的思考力を育てることができます。また、自分の考えを整理し、相手に伝わる形で説明する経験は、表現力の育成にもつながります。
協働力・コミュニケーション力
ペアワークやグループ活動では、自分とは異なる意見を聞き、考えを調整しながら、共通の課題や目標に取り組むことが求められます。
こうした経験を積み重ねることで、自分の意見を伝える力だけでなく、相手の考えを理解し、協働するためのコミュニケーション力も育まれます。
多様な国籍や文化的背景を持つ生徒が共に学ぶインターナショナルスクールでは、異なる視点に触れながら協働する機会が日常的に生まれます。
学習意欲・内発的動機(自己肯定感)
アクティブラーニングでは、生徒自身の問いや考えが学習のプロセスに取り入れられます。自分で考えたことを表現し、他者から意見を得て、さらに考えを深める経験は、学習への主体的な関わりを促します。 また、自ら選択したり、試行錯誤したりする機会があることで、「自分で学びを進めている」という感覚を持ちやすくなります。こうした経験は、学習に対する自信や内発的な動機づけを支える一つの要素となります。
インターナショナルスクールにおけるアクティブラーニングの実践

アクティブラーニングは、インターナショナルスクールにおいても重要な教育アプローチの一つです。ここでは、IB教育における探究型学習や、多様な文化的背景を持つ生徒が共に学ぶ環境が、主体的・対話的な学びとどのように関係しているのかを紹介します。
IB PYPの探究型学習——アクティブラーニングを組織的に実践する教育
国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)のPYP(Primary Years Programme:初等教育プログラム)は、探究を教育の中心に位置づけています。
「探究の単元(Unit of Inquiry:UOI)」では、生徒が問いを持ち、調べ、考え、他者と対話し、自らの理解を表現しながら学びを深めていきます。アクティブラーニングと共通する要素が、個々の授業だけではなく、カリキュラムの中に継続的に組み込まれていることが特徴です。
教師の役割も、知識を一方向に伝えることだけではありません。生徒の問いや思考を引き出し、必要な支援や学習環境を整えながら、探究を支える役割を担います。こうした点で、IB PYPの探究型学習は、学習者の主体性、対話、思考、振り返りを重視するアクティブラーニングと高い親和性を持っています。
多国籍環境がアクティブラーニングを深化させる
アクティブラーニングでは、異なる考えや視点に触れることが、思考を深めるきっかけになります。
多様な国籍や文化的背景を持つ生徒が共に学ぶインターナショナルスクールでは、グループ・ディスカッションやプロジェクト型学習を通して、自分とは異なる経験や価値観に基づく意見に接する機会があります。
自分の考えを説明するだけでなく、異なる視点を理解し、ときには考えを修正しながら共通の課題に取り組む経験は、多様性のある社会で他者と協働する力を育てることにつながります。
まとめ
アクティブラーニングとは、生徒が学習のプロセスに能動的に関わり、自ら考え、他者と対話し、学んだ知識を活用しながら理解を深めていく学習のあり方です。
グループ・ディスカッション、シンク・ペア・シェア、ジグソー法、PBLなど、用いられる手法はさまざまですが、本質は特定の形式にあるのではありません。生徒自身が考え、判断し、表現し、他者との関わりを通して学びを深めているかどうかが重要です。 IB教育における探究型学習にも、こうした考え方と共通する要素があります。代々木インターナショナルスクールでは、IB PYPの枠組みや、多様な文化的背景を持つ生徒が共に学ぶ環境を生かしながら、生徒が問いを持ち、考え、対話し、学びを発展させていく機会を日々の教育の中に取り入れています。
カリキュラム






