探究学習とは?4つのプロセスと身につく力・通常授業との違いをわかりやすく解説

What Is Inquiry-Based Learning? 4 Key Stages, the Skills Students Develop, and How It Differs from Traditional Lessons

探究学習とは、生徒が自分で問いや課題を見つけ、情報を集めたり、分析したり、考えを深めたりしながら、自主的に答えや解決策を導き出していく学習方法です。

近年では、変化の大きい社会を生きていくために必要な力を育てる学びとして注目されており、小学校から高校まで幅広く取り入れられています。一方で、「探究学習」と「調べ学習」は何が違うのか、探究学習を通してどのような力が身につくのか、わかりづらいと感じる方も少なくありません。

本記事では、探究学習の定義や特徴、調べ学習との違い、アクティブ・ラーニングとの関係について解説します。探究学習への理解を深め、お子さまに適した学習環境を検討する際の参考にしてください。

Table of Contents

探究学習とは何か?|定義と「調べ学習」との違い

探究学習とは、生徒自身が問いを設定し、その問いに対する答えを探し続ける学習活動です。まずは探究学習の定義や、混同されやすい調べ学習との違いについて確認していきましょう。

探究学習の定義

探究学習とは、生徒が自ら問いや課題を見つけ、情報を集めたり考察したりしながら、解決に向けて主体的に学びを進める学習方法です。変化の大きい現代社会では、知識を覚える力だけでなく、課題を発見し、解決へ導く力が求められています。

例えば、環境問題をテーマとした場合、生徒は現状を調べるだけでなく、地域や世界で起きている課題を分析し、その解決に向けて自分なりの考えを深めていきます。その過程では、情報収集やデータ分析に加え、他者と意見を交換しながら考えを深めることも大切です。

このように探究学習は、決まった答えを覚える学習ではありません。生徒が自ら問いを立て、考え、答えを導き出す力を育てる学習活動です。

「探究学習」と「調べ学習」の違い

探究学習と調べ学習の大きな違いは「学習の目的」にあります。

調べ学習は、既存の情報を調べ、答えを整理することを目的とした学習です。一方、探究学習では、答えが一つに決まらない問いについて考察を深め、自ら答えや解決策を導き出すことを重視します。
例えば「地球温暖化の原因」をテーマにした場合、調べ学習では、書籍やインターネットを使って原因を調べ、内容を整理することが中心です。

一方、探究学習では、原因を調べるだけでなく、「地域で温暖化対策を進めるには何が必要か」といった問いを立て、解決策まで検討します。
そのため、探究学習は知識の習得にとどまらず、思考力・判断力・表現力を育てる学びにもつながります。

「探究的な学び」と「アクティブ・ラーニング」の関係

探究的な学びは、アクティブ・ラーニングを実現するための重要な学習方法の一つです。
文部科学省が示す「主体的・対話的で深い学び」では、生徒が自ら考え、他者と意見を交わしながら学びを深めていくことが重視されています。

探究学習では、生徒自身が課題を設定し、調査や分析を通して考察を深めます。さらに、発表や議論の機会も多く設けられるため、主体性や対話力、表現力を育てることにもつながります。

このように、探究的な学びはアクティブ・ラーニングの考え方を具体的な教育活動として実践する手段であり、生徒の主体的な成長を支える学びだといえます。

なぜ今、探究学習が重視されているのか|背景と導入の経緯

なぜ今、探究学習が重視されているのか|背景と導入の経緯

探究学習が重視される背景には、社会環境の急速な変化があります。ここでは、探究学習が注目される理由や教育制度との関係について解説します。

VUCA時代に求められる「探求する力」

近年、探究学習が注目されされている背景には、先行きが予測しにくい「VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity and Ambiguity)時代」の到来があります。社会の仕組みや技術が急速に変化する今、これまでの成功例や知識だけでは解決できない課題が増えています。

こうした時代に求められるのは、決められた答えを覚える力だけではありません。身の回りの課題に気づき、自分で考え、情報を整理しながら、よりより解決策を見つけていく力が大切になります。論理的に考える力や、新しい発想を生み出す力も、これからの社会でますます重要になるでしょう。

探究学習では、生徒自身が問いを立て、調べ、考え、時には失敗を重ねながら学びを深めていきます。変化の激しい社会の中でも主体的に行動し、未来を切り開くための力を育んでいきます。

学習指導要領の改訂と「総合的な探究の時間」の必修化

文部科学省は、社会の変化に対応できる人材を育てるため、2018年に高等学校の学習指導要領を改訂しました。その中で、これまでの「総合的な学習の時間」は、「総合的な探究の時間」へと名称が変わりました。

これは、知識を学ぶだけでなく、生徒自身が問いを立て、調べ、考え、学びを深めていくことをより重視するための変更です。2022年度からは、すべての高校生が学ぶ必修科目として実施されています。

「総合的な探究の時間」では、生徒が自分で課題を見つけ、情報を集め、分析し、考察する力を育てます。こうした学びを通して、変化の激しい社会の中でも、自ら考え、学び続ける力を身につけることが期待されています。

「生きる力」を育む探究学習

探究学習は、文部科学省が大切にしている「生きる力」を育てる学びとしても注目されています。「生きる力」とは、変化の激しい社会の中で自分で考え、判断し、周りの人と協力しながら、自分らしい未来を切り拓いていく力のことです。

学校教育では、知識や技能を身につけるだけでなく、物事を深く考える力、状況に応じて判断する力、自分の考えをわかりやすく伝える力を育てることが重視されています。

探究学習では、生徒が課題について調べ、考え、まとめ、発表する活動を繰り返します。その過程を通して、思考力・判断力・表現力をバランスよく伸ばすことができます。

こうして探究学習で育まれる力は、進学や就職に役立つだけではありません。社会に出てからも主体的に考え、行動し、周囲と協力しながら活躍していくための大切な土台となります。

探究学習の進め方「4つのプロセス」

探究学習の進め方「4つのプロセス」

探究学習は、ただ思いついたことを自由に調べる学習ではありません。自分で課題を見つけ、情報を集め、整理・分析し、考えたことをまとめて発表するという流れに沿って進めていきます。

この一連のプロセスを繰り返すことで、生徒は少しずつ学びを深め、自主的に考えを広げていきます。

ここでは、探究学習を進めるうえで大切な4つのプロセスについて、わかりやすく紹介します。

プロセス①:課題の設定〜「自分の問い」を見つける

探究学習は、まず「自分が考えてみたい問い」を見つけることから始まります。

自分の興味や関心に合ったテーマであれば、「もっと知りたい」「調べてみたい」という気持ちが生まれやすく、主体的な学びにつながります。

たとえば、環境問題に関心がある生徒なら、「地域で食品ロスを減らすにはどうすればよいか」という問いが考えられます。また、国際問題に興味がある生徒なら、「異文化を理解するために、私たちにできることは何か」といった問いを立てることもできます。

このように、自分にとって身近で関心のあるテーマから問いをつくることで、探究学習はより深まりやすくなります。

プロセス②:情報の収集〜さまざまな方法で「答え」に近づく

課題を決めたら、次はその問いを考えるために必要な情報を集めます。探究学習では、一つの情報だけに頼らず、さまざまな視点から調べることが大切です。

たとえば、インターネットや本で基本的な知識を調べる方法があります。さらに、専門家に話を聞いたり、実際に現地へ行って調査したり、アンケートを行ったりすることで、より具体的な情報を得ることができます。

複数の方法を組み合わせて情報を集めることで、内容を客観的に考えやすくなり、より信頼できる学びにつながります。

プロセス③:整理・分析〜集めた情報から「意味」を見つける

情報を集めた後は、その内容を整理し、分析していきます。大切なのは、集めた情報をそのまま並べるのではなく、そこから何がわかるのかを考えることです。

たとえば、複数の情報を比べたり、内容ごとに分類したりすることで、共通点や違いが見えてきます。また、「なぜそうなったのか」「どのような影響があるのか」といった原因と結果の関係を整理することで、課題の本質に近づくことができます。

このように情報を整理・分析することで、自分の考えを深め、より説得力のある結論へとつなげていきます。

プロセス④:まとめ・表現〜学びを「発信」する

探究学習の最後は、調べて考えたことをまとめ、周りの人に伝える段階です。自分の学びを言葉や資料にして発信することで、理解がさらに深まります。

発表の方法には、プレゼンテーション、レポート、ポスター発表など、さまざまな形があります。聞き手にわかりやすく伝えるためには、結論やその理由、調べてわかったことを整理し、順序立てて伝えることが大切です。

また、発表後に質問や意見をもらうことで、自分では気づかなかった新しい視点を得られることもあります。

このように、学んだことをまとめて表現することで、探究学習はより深く、実践的な学びへとつながっていきます。

探究学習で身につく3つの力

探究学習で身につく3つの力

探究学習の魅力は、知識を身につけるだけでなく、将来にも役立つ実践的な力を育てられることです。

自分で課題を見つけ、調べ、考え、周りの人と協力しながら学びを深めることで、さまざまな力が自然と身についていきます。

ここでは、探究学習を通して育まれる代表的な3つの力を紹介します。

批判的思考力(クリティカルシンキング)

探究学習では、批判的思考力を育てることができます。批判的思考力とは、情報をそのまま信じるのではなく、「本当に正しいのか」「根拠はあるのか」と考えながら判断する力です。

たとえば、インターネット、本、インタビューなど、さまざまな方法で情報を集めるときには、それぞれの内容を比べながら、信頼できる情報かどうかを考えます。

その過程で、事実と意見を分けて考えたり、情報の背景に目を向けたりする習慣が身についていきます。

こうした経験を重ねることで、表面的な情報に流されず、課題の本質を見極める力が育まれます。

問題解決能力と主体性

探究学習は、問題解決能力と主体性を育てる学びでもあります。生徒自身が課題を設定し、解決に向けて行動するため、受け身ではなく、自ら学ぶ姿勢が身につきます。

たとえば、地域の課題や社会問題をテーマにする場合、生徒は必要な情報を集め、原因を考え、解決策を検討しながら学習を進めます。

その中では、思うように進まないこともあります。しかし、試行錯誤を重ねながら課題に向き合うことで、柔軟に考える力や実際に行動する力が養われます。

また、自分で学習計画を立てて取り組む経験を通して、主体的に学ぶ力も育っていきます。これらの力は、変化の激しい社会を生きていくうえで大切な土台となります。

コミュニケーション能力と協働力

探究学習では、コミュニケーション能力や協働力も育まれます。多くの活動で、意見を出し合ったり、仲間と協力して取り組んだりする場面があるためです。

グループワークでは、自分の考えをわかりやすく伝える力が求められます。同時に、相手の意見をよく聞き、考え方の違いを理解し、尊重する姿勢も大切になります。

さまざまな価値観や意見に触れることで、自分だけでは気づけなかった視点を得ることができます。その結果、よりよい解決策を考える力にもつながります。

さらに、役割を分担しながら一つの目標に向かって取り組むことで、協力して課題を解決する力が身についていきます。コミュニケーション能力と協働力は、学校生活だけでなく、将来の職場や社会でも大きく役立つ力です。

インターナショナルスクールにおける探究学習

インターナショナルスクールにおける探究学習

探究学習をより深めるためには、学校の教育方針や学習環境も大切です。

特にインターナショナルスクールでは、生徒が自分で問いを立て、考え、学びを広げていく探究型の学習が重視されています。

ここでは、インターナショナルスクールで行われている探究学習について紹介します。

IBプログラムにおける探究型学習(Inquiry-Based Learning)

IBプログラムでは、探究型学習を大切な学びの方法として位置づけています。知識を覚えるだけでなく、生徒自身が問いを持ち、考えながら学びを深めていく姿勢を重視しているためです。

IBには、PYP、MYP、DPという主なプログラムがあります。いずれのプログラムでも、探究型学習の考え方が取り入れられており、生徒はさまざまなテーマについて主体的に学んでいきます。

また、教科の枠をこえて学ぶ機会があることも特徴です。知識を実社会の課題と結びつけながら考えることで、学びをより実践的なものにすることができます。

こうした学習環境は、生徒の主体性や問題解決能力を育てるうえで大きな役割を果たしています。

代々木インターナショナルスクール(Yoyogi-IS)における探究学習の実践

代々木インターナショナルスクール(Yoyogi-IS)では、探究型学習を日々の授業に積極的に取り入れています。Yoyogi-ISはIB World SchoolとしてIB PYPの認定を受けており、生徒一人ひとりの主体的な学びを大切にしています。

授業では、子どもたちが自分で疑問を持ち、その答えを探しながら学習を進めます。その過程で、生徒は自分で考え、発見し、感じたことや考えたことを表現する経験を積み重ねていきます。

また、多様な文化的背景を持つ仲間と一緒に学ぶことで、国際的な視野やコミュニケーション能力も育まれます。

このようにYoyogi-ISは、探究学習を実践的に行いながら、子どもたちが主体的に学び、世界へ視野を広げていける学習環境を整えています。

まとめ

まとめ

探究学習とは、生徒が自分で問いを立て、情報を集め、考えを深めながら課題の解決に取り組む学習方法です。

この学びを通して、批判的思考力、問題を解決する力、主体的に行動する力、周りの人と協力する力など、将来に役立つさまざまな力を育てることができます。

こうした力を伸ばすためには、探究学習に日常的に取り組める環境も大切です。特にインターナショナルスクールでは、探究型の学びを重視している学校が多く、生徒が自分らしく考え、学びを広げやすい環境が整っています。

代々木インターナショナルスクールでは、IBプログラムに基づいた探究型学習を通して、生徒一人ひとりの主体的な学びを大切にしています。

実際の授業の雰囲気や子どもたちの学びの様子を知りたい方は、ぜひ学校見学にお越しください。

Table of Contents