インターナショナルスクールに通わせると義務教育はどうなる?日本国籍・多重国籍・外国籍別に解説

インターナショナルスクールに通わせたいと考えたときに、多くの保護者の懸念事項は「義務教育はどうなるのか」ではないでしょうか。日本の学校に通わなくても問題はないのか、子どもの国籍(日本国籍・多重国籍・外国籍)によって手続きがどのように変わるのか、不安に感じる方も少なくないと思います。
本記事では、子どもをインターナショナルスクールに通わせた場合の義務教育の制度上の位置付けについて、子どもの国籍(日本国籍・多重国籍・外国籍)別に解説しています。また、子どもをインターナショナルスクールに通わせる際に確認しておきたいポイントについても解説していますので、子どものインターナショナルスクールへの入学を検討している方はぜひ参考にしてください。
「義務教育」とは何か:一条校と就学義務の基礎知識
インターナショナルスクールを検討する前に、日本の義務教育制度を正しく理解しておきましょう。特に「就学義務」や「一条校」という言葉は判断に直結する要素です。
ここでは、日本の義務教育の基本的な仕組みとインターナショナルスクールとの関係について解説します。
日本の義務教育制度の仕組み
日本の義務教育は、日本国憲法第26条に基づき、すべての国民が教育を受ける権利を持つことを前提とした制度です。この権利を実現するため、保護者には子どもを学校へ通わせる義務が課されています。
具体的には、学校教育法第16条・第17条により、子どもが満6歳になった後の最初の学年から満15歳に達する学年の終わりまで、保護者は子どもを学校教育法第1条で定められた学校(一条校)へ就学させなくてはなりません。この期間には小学校6年間と中学校3年間の合計9年間が含まれます。これが日本における義務教育の基本であり、すべての子どもに保障される普通教育の範囲として定められています。
一条校とインターナショナルスクールの違い
一条校とは、学校教育法第1条に定められた正式な学校のことです。公立・私立を問わず、日本の一般的な小学校や中学校、高校が該当します。これらの学校(一条校)では文部科学省の学習指導要領に基づいた教育が行われています。
一方、多くのインターナショナルスクールは一条校ではありません。大半は学校教育法第134条が定める「各種学校」または、無認可の教育施設として運営されています。ただし、一条校として認められているインターナショナルスクールもあります。学校ごとの位置づけを正しく理解することが重要です。
インターナショナルスクールの法的分類
日本国内のインターナショナルスクールは、法的な位置づけによって大きく3つに分けられます。
1つ目は、一条校として認定されているインターナショナルスクールです。数が限られており、ごく少数しかありません。
2つ目は、学校教育法第134条に基づく各種学校として認定されているインターナショナルスクールです。一条校として認定されている学校に比べると比較的多い傾向にあります。
3つ目は、日本の国としては無認可の教育施設として運営されているインターナショナルスクールです。
法的分類の違いによって就学義務の有無や進路への影響が変わる可能性があります。そのため、入学前にお住まいの自治体や各スクールへ直接確認しておくことが大切です。
日本国籍・多重国籍・外国籍の違いにより異なるルール

インターナショナルスクールへの就学を検討する際、子どもの国籍によって就学義務の扱いが異なる点に注意しましょう。特に、日本国籍の有無は重要な判断基準とされるため、事前に正しく理解しておくことが大切です。ここでは、子どもの国籍ごとの違いを解説します。
日本国籍のみ:インターナショナルスクールへの就学は就学義務違反になる
日本国籍のみを持つ子どもには、学校教育法第16条・第17条に基づく就学義務が課されています。この義務は一条校への就学によって履行される制度であるため、一条校ではないインターナショナルスクールに通わせた場合、制度上は就学義務を履行したとはみなされません。
例えば、インターナショナルスクールの小学部を卒業してから公立中学校に入学することを認めていない市区町村も存在します。編入についても同様に自治体の教育委員会によって対応が変わる可能性があります。インターナショナルスクールに入学する前に、公立学校への編入の選択肢についてお住まいの自治体にしっかりと確認しておきましょう。
多重国籍(日本籍+外国籍):就学猶予・免除の手続きがある
日本国籍と外国籍の両方を持つ多重国籍の子どもにも、原則として就学義務が課されます。ただし、将来的に外国籍を選択する可能性が高く、別の教育機会が確保されていると判断された場合、教育委員会への申請によって就学義務の猶予や免除を受けられます。この手続きは自治体ごとに運用が異なる可能性があるため、早めに確認して準備を進めましょう。
外国籍のみ:手続き不要でインターナショナルスクールへ就学できる
外国籍のみを持つ子どもには、日本の義務教育に基づく就学義務は課されていません。そのため、インターナショナルスクールに通う場合、特別な手続きを行う必要はありません。
ただし、区立・市立の公立学校への就学を希望する場合、自治体ごとに定められた就学申請が必要となる場合があります。進路に応じて適切な選択を行いましょう。
日本国籍の子どもがインターナショナルスクールに通う現実的な方法

日本国籍の子どもがインターナショナルスクールに通う場合、義務教育との関係を踏まえた現実的な選択が求められます。
制度上の制約がある中でも、現場では実情に応じた様々な対応が行われているのをご存知でしょうか。
ここでは、代表的な方法とそれぞれのポイントについて解説します。
お住まいの自治体に将来的な公立学校への編入の可否を確認したうえで、インターナショナルスクールに通わさせる
子どもをインターナショナルスクールに通わせることを検討する際は、将来的に公立学校へ編入できるかどうかを、事前にお住まいの自治体へ確認しておくことが大切です。転勤や帰国、教育方針の変更などにより進路を見直す可能性もあるため、公立学校への受け入れ条件を把握しておくと安心できます。
あらかじめ編入の可否を確認しておくことで、子どもの将来の選択肢を広く確保しながら、インターナショナルスクールのメリットを活かした教育を受けさせることができるでしょう。後悔のない学校選びのためにも、早い段階で情報収集を進めることが重要です。
公立小学校の籍を残しながらインターナショナルスクールに通う
日本国籍の子どもがインターナショナルスクールに通う際に多く見られる方法は、公立小学校に在籍したまま長期欠席という形を取るケースです。この方法なら形式上は一条校に籍を置いておけるため、効率が良いといわれています。
ただしこの場合、お住まいの自治体によって対応が変わる上に、籍を置く学校側への連絡・許可が必要であり、定期的な担任や校長との面談が求められるケースもあります。お住まいの自治体への事前確認をしっかりと行った上で、許可を得られた場合には籍を置く学校との良好な関係を保つことも大切です。
一条校として認定されたインターナショナルスクールを選ぶ
就学義務を確実に履行しながらインターナショナル教育を受けたい場合は、一条校として認定されたスクールを選ぶ方法もあります。この形であれば、日本の制度に沿った教育を受けつつ、国際的なカリキュラムにも触れられます。
ただし、一条校のインターナショナルスクールは数が限られているため、情報収集を早めに進めるのがポイントです。
インターナショナルスクールに通わせる際に保護者が事前に確認すべき5つのポイント

インターナショナルスクールへの進学は魅力的な選択肢ですが、重要なポイントも押さえておきましょう。特に、制度面や進路への影響は見落としやすく、入学後に課題として浮かび上がるケースも少なくありません。
ここでは、保護者が事前に押さえておきたいポイントを5つ紹介します。
1. 入学を検討しているインターナショナルスクールが一条校・各種学校・無認可のどの分類にあたるかを確認する
最初に確認すべき点は、学校の法的な位置づけです。なぜなら、一条校に該当するかどうかによって、進路の選択肢や制度上の扱いが大きく変わるためです。
Webサイトやパンフレットの情報だけで判断せず、直接学校へ問い合わせましょう。さらに、口頭の説明だけでなく書面での確認を行うことで、後から認識の違いが生じるリスクを防ぐことができます。
2. 将来の進路を事前にシミュレーションしておく
インターナショナルスクールへの進学は、その後の進路に大きな影響を与えます。例えば、小学校だけインターナショナルスクールに通い、中学校から日本の公立校へ就学する計画がお住まいの自治体によっては法律上困難になる可能性があります。
そのため、短期的な視点だけでなく、中長期的な進路を見据えて検討することが重要です。家庭内でしっかり話し合い、現実的なプランを計画しましょう。
3. 住んでいる自治体のルールを事前に確認する
インターナショナルスクールへの入学手続きは、自治体ごとに運用が異なる可能性があります。特に、公立学校の就学猶予や免除に関する手続きは、教育委員会の判断が大きく関わります。
正確な情報を得るためには、居住している市区町村の教育委員会へ直接問い合わせることが重要です。早い段階で相談し、必要な手続きや準備をスムーズに進めましょう。
4. 日本語教育・日本文化のサポート計画を立てる
インターナショナルスクールでは英語を中心とした教育が行われるため、日本語の学習が不足しやすい傾向にあります。そのため、国語や漢字、日本史や社会などが手薄になるケースも少なくありません。
対策として、学外で日常的に日本語に触れる機会を意識的に設けることが有効です。自宅学習等で漢字や国語を補完しながら、バランス良く子どもの学びを支えましょう。
5. 学費の長期的な負担を見通す
インターナショナルスクールでは公立学校と比較して年間の学費が高額になる傾向にあり、小学校段階から通わせる場合は長期間にわたる高額な費用が発生します。この費用負担が10年以上継続するケースも多く、総額では各家庭にとって大きな負担となるケースも少なくありません。英語力の維持や補強のために家庭教師や塾を利用する場合には、さらに追加費用がかかる点にも注意が必要です。
インターナショナルスクールに通わせる前に、通学に伴う交通費や教材費なども含めた全体のコストを事前に試算しておき、無理のない資金計画を立てて、子どもへの継続的な学びの環境を支えましょう。
まとめ

インターナショナルスクールと義務教育の関係は、国籍や学校の法的区分によって大きく異なります。
「義務教育はどうなるのか」、「日本の学校と両立できるのか」といった疑問は多くの保護者が抱えるものですが、その答えは一律ではありません。
お住まいの自治体や入学する学校ごとに定められた制度や対応方針によっても状況が変わるため、正確な情報を得ることが重要です。最も確実な方法は、実際にスクールを訪問し、教育内容や制度面について直接確認することです。




